星野源氏が6枚目のアルバム「Gen」を出した周りの話題を見かけるので、関連して(?)過去に調べたことについて忘れないうちにメモしておきます。
以前、このサイトでJASRACに委託する条件等を軽く調べた記事を書きました。
この時に
これまでお作りになった作品と、今後お作りになる作品のすべての著作権がJASRACに移転します。
という記述を確認しており、JASRACに委託した人は今後フリー音源等の配布は不可能になると解釈していました。
しかし後の2020年4月3日に星野源氏がInstagram上で「うちで踊ろう」という曲を公開し、のちにTwitterやYouTubeにも
皆さんどんどん弾いて、アレンジして、歌って動画をアップしてくださいね。
という文言とともに楽譜や動画がアップロードされました。
さらに後では音源をフリーダウンロードできるようになっていました(現在はリンク切れ)。
InstagramやYoutubeはともかく、Twitter(現X)でアレンジしたり歌ったりした投稿をするためにはJASRACの許諾が必要なのでは……?と当時から疑問に思い調べてみたものが以下となります。
まずJ-WIDで星野源氏の「うちで踊ろう」以外の楽曲を検索すると(今回は「不思議」で検索)、もちろん
この作品は、JASRACが著作権を管理しています。
と表示されます。
次に「うちで踊ろう」で検索すると、
この作品は、JASRACでは著作権を管理しておりません。
との表示が。なんと同じ作曲者なのにこちらは管理外。
ページ内の管理状況詳細の欄を見ると「アミューズ 自己管理事業部」の横にバツ印があり、ここがJASRACに委託していないとのこと。
自己管理事業部ねえ、JASRACの管理委託契約約款を見ると
とあることから、出版社内で違う事業部を作ることで「JASRAC委託者だけど特定の曲だけフリー配布」が実現できるようです。第8条 音楽出版者(法人に限る。)は、その事業部を単位として、2以上の個別信託を設定することができる。
「うちで踊ろう」がフリー配布できていた仕組みはこういうことのようです。
事業部を複数作るのは個人単位では無理なので、出版社と契約している必要があるわけですね。
なおJASRACサイトは以前の記事を書いたときからリニューアルされており、FAQ等のURLも変わっています。
改めてFAQを確認すると
Q. 楽曲単位で著作権を預けることはできますか?
A. 曲単位で預けることはできません。基本的には、これまでお作りになった楽曲と、今後お作りになる楽曲の著作権がJASRACに移転します。
「基本的には」が追加されていました。
Q. 楽曲ごとに管理委託範囲を選択することはできますか?
A. 楽曲単位で異なる管理委託範囲を選択することはできません。管理委託範囲を変更された際には、すべての楽曲の管理委託範囲が変更されることになります。ただし、音楽出版社の方で事業部を単位とした契約を締結している場合は、本体⇔事業部間、または事業部⇔事業部間で楽曲を移すことによって、楽曲ごとに管理委託範囲を選択することができます。
事業部を変えることで楽曲ごとに範囲を変えられる説明がありました。以前は無かった気がします(見つけられなかっただけかも)。